2学期終業式(12月24日)

79日間の長い2学期が本日終わりました。

この2学期は演劇発表会に始まり,秋の研究会発表会,音楽のつどいなど様々な行事がありました。生徒たちにとって,きっと充実した時間だったと思います。

終業式では,校長先生の講話がありました。詳しくは下記の通りです。

講話の途中,生徒たちは校長先生の話に反応しながら,熱心な眼差しをおくっていました。

明日から,冬休みに入ります。良いお年をお迎えください。

平成25年度 2学期終業式 校長講話
三つの学期のなかで一番長かった2学期も、今日で終わりです。終わってみるとあっという間に過ぎてしまったように感じるのは、私だけでしょうか。
 2学期がその長さのわりにはやく過ぎるように感じるのは、おそらくいろいろな行事が目白押しだったからではないでしょうか。間近なところでは、一週間前に決選投票が行われた生徒会役員選挙がありましたね。今年は立会演説会を見させてもらいましたが、いずれの候補者の演説も、附中あるいは附中生のいまの有り様を直視し、よりよい附中を作っていきたいという真摯な思いが、ひしひしと伝わってくる立派なものでした。
 私も中学校で生徒会の役員を務めたことがあります。ただ、そのときのことを振り返ってみると、私が立候補した動機というのはきわめて個人的なものでした。私は幼い頃とっても重症の人見知りでした。初対面の人とはほとんどしゃべれないし、人前で何かしゃべったりするなんてことまったくできませんでした。中学入学の頃までそんな感じでした。しかしその一方で、そんな自分がとっても嫌いでもありました。何とか嫌な自分を変えたい、人前でも平気な自分になりたい、そんな気持ちを持ち続けてもいました。そして決断したのです。これまでの自分だったら絶対にやらないこと、生徒会役員に立候補してみよう、そしてみんなの前でしゃべってみるぞ、と。清水の舞台から飛び降りる、という言葉がありますが、まさにそんな気持ちでした。先日、立会演説会を見ながら、自分自身と葛藤していたあの頃を懐かしく思い出しました。あのときの決断があったればこそ、いまこうやってみなさんを前にお話しすることのできている私になれたのだと思います。
 もう少し私自身に関わった話をさせてください。2学期の二大イベントといってもいいでしょう、演劇発表会と音楽のつどい、今年も期待していましたが、その期待を裏切らないみなさんの頑張りだったと思います。昨年は3年生の存在感に圧倒されました。今年は1、2年生の頑張りとその結果としての出来映えの良さが印象に残りました。
 ただ一点難癖を付けてもいいでしょうか。演劇での1年生の作品、『「また、必ず会おう」と誰もが言った』ですが、主人公は熊本の高校生という設定で、舞台でもキャストの方々が一生懸命方言の台詞に取り組んでくれていました。しかし、残念なんですが、あれは同じ九州の方言でも、熊本弁ではなく博多弁だったように思います。私は、高校卒業までの18年を主人公・秋月和也君のように熊本で育ち、大学入学から新潟に来るまでの10年ちょっとを福岡で過ごしました。つまり、熊本弁にも博多弁にも堪能なバイリンガルなんです。九州を離れて30年ほど経ち、熊本弁や博多弁を口にすることもめっきり少なくなりましたが、耳の方はまだまだ衰えておらず、「そりゃ、熊本弁じゃなかばい」と思った次第です。
 ところで、ついでですのでひとつお尋ねします。熊本と聞いて何を思い浮かべますか?やっぱりこのところ国民的人気者になっている「くまモン」でしょうかね。「くま」はひらがな、「モン」はカタカナというのが正しい表記です。この「くまモン」てどんな意味でしょうか?「くま」は「熊本」の「熊」と動物の「熊」をかけたものです。「モン」は「者」、「人気者」の「者」です。九州では「者」を「モン」と発音します。要するに「くまモン」は熊の姿をした「熊本者」、つまり「熊本県人」という意味なのです。
 40年前まで正真正銘の「くまモン」であった私は、自宅からほど近くにそびえ立っていた、天下三名城のひとつ、熊本城を仰ぎ見ながら育ちました。ちょっとお城まで、といった具合に近くの遊び場といった感覚の存在でした。小学校高学年の頃には、放課後友人たちと「城攻め」と呼んでいた遊びを毎日のようにやっていました。熊本城を攻撃する戦国武将を気取って、人目に付かずお城に忍び込む遊びです。単なる観光ではわからない、気づかないお城のすごさ、おもしろさをたくさん体感できました。そうやって日々歴史的遺跡と身近に接していたからでしょうか、私は自然と歴史好きな少年になっていきました。いま、私は大学で歴史学の教員をやっているわけですが、その原点はまさに熊本城によって育まれた「お城オタク」にあったと言って過言ではありません。
 みなさんには、もし今興味を惹かれていること、三度の飯より好きなことがあるならば、それを大切に持ち続け、育み続けていってもらいたいと思います。私のように大人になって仕事に結びついていくということは決して多くはないかもしれません。しかし、大人になっても子供の頃から大事にしてきた好きなものがあるということは、みなさんにきっと豊かな人生をもたらしてくれるだろうと私は確信しています。
 それでは、明日からの冬休みを健康に留意して過ごしてください。そして2014年、新しい年にまたお会いしましょう。